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電子カルテの三原則について。ガイドラインを分かりやすく解説

電子カルテの三原則という言葉は耳にしたことがあっても、その具体的な意味を把握していない方は少なくないでしょう。三原則とは厚生労働省のガイドラインで定められた重要な指針であり、電子カルテを安全かつ適正に活用するために不可欠な原則です。

本記事では、電子カルテの導入を検討しているクリニック経営者や事務長に向けて、三原則の内容を分かりやすく解説するとともに、遵守しない場合のリスクや具体的な対策についても紹介します。

厚生労働省が定める「電子カルテの三原則」とは

電子カルテの三原則とは、診療記録をデジタルデータとして保管する際に満たさなければならない3つの条件を指します。厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」(2023年5月)では、電子保存における基本的な要件として「真正性」「見読性」「保存性」が明示されています。これら3つの要件は、紙のカルテが持つ信頼性を電子データでも同様に担保するために設けられました。電子カルテを採用・運用する医療機関は、三原則の趣旨を正しく理解し、必要な措置を講じることが求められます。

「真正性」について

真正性とは、電子カルテに入力された情報が「適切な権限を有する者によって作成され、改変されていないこと」を担保する要件です。この要件を満たすには、誰がどのタイミングで記録を作成・修正したのかを後から確認できる体制が必要です。ログイン時のID・パスワードによる本人確認、操作履歴(アクセスログ)の保存、電子署名の導入などが具体的な対応策として挙げられます。

紙カルテの場合は筆跡から記載者を判別できますが、電子データではそのような方法は使えません。そのため、システム上で「誰が」「いつ」「どのような内容を」入力したのかを明らかにする仕組みの構築が欠かせません。

「見読性」について

見読性とは、電子カルテに格納された情報を「必要な場面で速やかに閲覧できる状態を維持すること」を意味します。データが正確に保存されていたとしても、必要な場面で表示できなければ実用性がありません。診療現場では、お客様のこれまでの治療経過や検査データをすぐに呼び出せることが不可欠です。見読性を確実にするには、システムの安定運用を前提として、停電やシステムトラブルが生じた状況下でも情報を参照できる備えを整えておく必要があります。

「保存性」について

保存性とは、電子カルテのデータを「法律で規定された期間にわたり、確実に保管し続けること」を指します。

診療録の保存期間は医師法で5年間と規定されており、保険医療機関においては「診療完結日から5年間」の保管義務があります。実際の運用では、これを超える期間にわたって保存しているケースも珍しくありません。その期間中、データの消失・劣化・外部からの不正な破壊などから情報を守り続ける必要があります。保存性を確実にするには、定期的なバックアップ、マルウェア対策、アクセス権限の管理といった多層的なセキュリティ施策の実施が不可欠です。

電子カルテの三原則を守っていない場合のリスクについて

電子カルテの三原則は厚生労働省のガイドラインで示された指針ですが、これに従わなかった場合、どのような問題が生じるのでしょうか。

法的な罰則について

結論から述べると、ガイドライン自体に法的強制力はないため、三原則への違反を直接の理由として罰則が適用されることはありません。

ただし、このガイドラインは医療法や個人情報保護法、e-文書法といった関連法規を前提に策定されています。したがって、ガイドラインを軽視した運用を継続すると、これらの法律に抵触する危険性が増大します。

運用上のリスクについて

三原則を無視した運用は、多種多様な業務上のリスクを招く原因となります。

  • 真正性が不十分な場合:カルテの不正書き換えや無許可アクセスを発見できない状態になります。また、医療事故や紛争が起きた際に、記録の正当性を立証できなくなる恐れがあります。

  • 見読性が欠如している場合:システム障害発生時に顧客データを確認できず、診療業務の継続が困難になります。緊急時に過去の処方履歴やアレルギー情報を参照できないことは、お客様の生命に関わる問題です。

  • 保存性に課題がある場合:データの紛失や外部への流出を引き起こします。顧客の個人情報が漏洩した場合には、個人情報保護法違反として行政処分や損害賠償請求の対象となり得ます。

昨今は医療機関を標的としたランサムウェア攻撃が増加傾向にあり、セキュリティ対策の不備は経営を揺るがすリスクそのものです。

電子カルテの三原則を遵守するための対策

三原則に沿って電子カルテを安全に運用するためには、どのような手立てが必要なのでしょうか。

データのバックアップ

最も基礎的かつ重要な施策がデータのバックアップです。電子カルテのデータは定期的に複製を作成し、障害や災害などの不測の事態に備えておく必要があります。

バックアップ方式としては、院内の別の記録メディアへ保存する方法と、離れた場所にあるデータセンターやクラウドへ保存する方法があります。院内だけでバックアップを取っていると、災害で施設全体が損壊した場合にバックアップごと消失するリスクがあるため、遠隔地保存との併用が望ましいでしょう。

DR(ディザスタリカバリ)計画の立案

DR(ディザスタリカバリ)とは、災害やシステム障害が発生した際に、システムを復旧させるための計画のことです。バックアップを確保しているだけでは十分とはいえず、「緊急時にどんな手順で、どの程度の時間で復旧させるか」をあらかじめ策定しておくことが重要です。復旧手順のマニュアル整備や、定期的な復旧訓練の実施も求められます。

電子カルテが稼働しない期間の代替策(紙カルテによる仮運用など)も事前に検討しておくと、診療への悪影響を最小限に食い止められます。

BCP(事業継続計画)対策と電子カルテの役割

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、災害や非常事態においても事業活動を維持し、速やかに平常運用へ復帰するための計画です。お客様の生命を預かる医療機関では、BCPの整備が特に重視されています。

BCP対策の必要性

日本は地震・台風・集中豪雨など自然災害が頻発する国土です。加えて、近年はサイバー攻撃の被害件数も増加し、医療機関が直面するリスクは多岐にわたります。災害時には傷病者の治療など平常時以上の医療需要が生じます。そうした状況下で診療を続けるには、電子カルテを含む医療情報システムが正常稼働していることが前提条件です。

災害時における電子カルテの活用例

これまでの災害では、電子カルテの運用状況が診療継続の可否に大きく作用した事例が複数報告されています。

2011年の東日本大震災では、津波の被害によって紙カルテや院内サーバーのデータが流出し、顧客情報を喪失した医療機関が相当数にのぼりました。その一方で、あらかじめバックアップ体制を構築していた医療機関は、停電や通信寸断の状況下でも顧客データを維持し、診療継続に成功した例があります。

また、2024年の能登半島地震では、電子カルテ情報の連携サービスを通じて、被災地以外の医療機関でも顧客の過去の診療記録を照会でき、的確な治療につなげた実績も確認されています。

こうした事例から、電子カルテのバックアップ体制やクラウド活用がBCP対策として効果的であることが明らかになっています。

データバックアップと復旧の仕組み

電子カルテのBCP対策で採用されるバックアップ方式は、大きく2種類に分かれます。

  • オンプレミス型(院内サーバー型)の場合:院内にある別の記録媒体や外付けストレージへバックアップを保存するのが標準的な方法です。ただし、施設全体が被災するとバックアップも同時に失われる危険があります。

  • クラウド型の場合:データが離れた場所のデータセンターに保管されるため、院内が被災してもデータ自体は保護されます。インターネット回線さえ利用できれば、別の拠点からでもカルテ情報にアクセスでき、診療の早期復旧が見込めます。

こうした特徴から、BCP対策を重視する観点ではクラウド型電子カルテの利点が注目を集めています。

BCP対策で失敗しないための注意点

BCPを形式的に整備しても、有事に機能しなければ意味がありません。計画の策定・運用にあたっては、以下の点を念頭に置きましょう。

  • バックアップの取得間隔と保管先の点検:バックアップが古いままだと、復旧後に直近のデータが欠落してしまう。

  • 復旧手順の文書化および共有:非常時に各人がどう動くべきか、役割分担を明確化しておく。

  • 定期的な訓練の実施:システム停止を想定した模擬訓練を行うことで、計画上の問題点や改善すべき事項を洗い出せる。

これらを日頃から実践することで、緊急時にも迅速かつ確実な対応が可能になります。

まとめ

本記事では、電子カルテの三原則(真正性・見読性・保存性)の概要と、遵守を怠った場合のリスク、さらに具体的な対策について説明しました。三原則は厚生労働省のガイドラインで示された電子カルテ運用の基本要件であり、顧客情報を適切に管理するうえで避けて通れない考え方です。電子カルテの導入を検討されている方は、三原則を満たすシステム選びとともに、BCP対策を見据えたバックアップ体制の構築も検討することをおすすめします。

自由診療・美容クリニックに特化したクラウド型電子カルテ「B4A」は、データをクラウド上で安全に管理し、三原則の要件を満たした運用を実現します。ISO/IEC 27001:2022の認証を取得し、3省2ガイドラインに準拠したセキュリティ体制を整備しているため、大切な顧客情報を安心して預けられます。

集客から予約、診療、会計までをワンストップで管理でき、クリニック運営の効率化も実現できます。電子カルテの導入を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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